園長から

子ども時代を子どもらしく過ごさせたい

落合秀子(園長)

 
  「ヒト」として生まれた赤ちゃんが、一人前の「人間」になるまでには、育つ順番があると私は思うのです。大脳生理学的に言うと、乳幼児期は大脳皮質が育つ時期なのだそうです。考える力を育てる大脳新皮質は、大脳皮質を土台にして発達します。つまり、大脳皮質は、私達の頭脳を作る根っことも言えるでしょう。

  では、大脳皮質はどうやって育つのでしょう? さまざまなものを見て、聞いて、嗅いで、触れて、そして味わって…。つまり感覚で何かを受け取ることでしか育って行かないのだそうです。水や泥であそんだり、花や虫の匂いをかいだり、手で物をつかんで味わったり、大人達が「汚い」などと制止しがちな、子ども達のそんな行動も、実は子どもの成長に欠かせないものなのです。

  考えたり学習したりする部分、つまり大脳新皮質が十分育っていない乳幼児期に、文字学習などを始めても、ただの記号としてしか受け取れません。たとえ覚えても、使いこなすことはできないのです。

  それよりも、子どもの「今」に必要なものをしっかり与えてあげたい。これが保育者として、私が常々考えていることです。幸いこの駒場キャンパスには武蔵野の自然が残されています。その中で存分に自然と戯れ、友達と触れ合い、思いきり遊ぶ時間を作ってあげたい。一度しかない子ども時代を、子どもらしく過ごさせてあげたいのです。

      
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